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      『名前探しの放課後』
      『名前探しの放課後』



      「あいつだ。俺、思い出した」
      「あいつ?」
      「クリスマス・イブの終業式の日の自殺者。
      あいつに間違いないよ。今日、全部、思い出した」



      ***
      これはよかった!とっても。すごく気に入りました。
      電車の中で、クライマックスに近づくにつれて涙が溢れてきて、
      ああ、いい本を読んだなあって。
      読み終わったそこから、もう一度読み返したくなった。

      タイトルがまずお気に入り。
      これだけで、いつか読みたいと思ってしまう。
      全ての章が、世界各国の童話の名前に統一されていて、
      不可思議な学園生活を、うまく彩っている気がします。



      ***
      主人公は、依田いつか、高校一年生。中学時代は水泳部で、将来を嘱望されていた。
      顔はジャニーズ系で、女の子には全く不自由しないほどモテるが、
      あまり深い付き合いの人間はいない。

      そんないつかが、親友の秀人(しゅうと)と一緒にいるとき、ある違和感に気が付く。
      「これから起きる」ことに対する断片的な記憶。
      いつかは、三か月前の世界にトリップしていた。

      「〜の遺体が、今朝、池の中に・・・」

      いつかの耳に残った言葉。
      名前を思い出せないが、
      三ヶ月後、確実に出るであろう自殺者を救うべく、いつかは、奔走する。

      読書家のあすな、現実主義だが物腰の柔らかい秀人、優しい椿、
      言い方はきついが頼りになる天木。
      4人の力を借りて、いつかが三ヶ月後の未来を変えるべく走り回っていたとき、
      一人の少年の存在を知る。

      河野基(こうのはじめ)。
      小瀬友春からいじめを受けているらしき、鉄道マニアの少年。

      いつからは、彼がその自殺者ではないかと推測し、必死に彼の命を守ろうとするが・・・。



      ***
      上下巻あるこの話。
      最初、読んでいるとき、
      面白いは面白いのですが、
      主人公、いつかの気持ちを理解することが難しく(眼に見えていい子という子ではないので)、
      これからどうなるんだろうなあ、この子、と思っていたのが、
      下巻になり、どんどん世界に引き込まれていって、
      ラストの数10ページは、
      いつかの行動の全ての意味がわかり、涙がでてきます。

      いつかが守りたかったもの。
      いつかのために、守ろうとしたもの。

      女の子との関係にだらしなく、腕の怪我のために自分の人生を諦めかけていたいつかが、
      あることを一瞬で決断し、それをやり遂げるために、自分の全てを投げ打ってきたその様を思うと、
      秀人が彼を手伝おうとした理由が、痛いほどわかる。

      「俺、単純にいつかくんを見直したんだよ」

      故意的に集められたメンバーが、それぞれのできることをやって、
      たった一人の人間を守ろうと必死になっていく。
      優しさに似てるかもしれない。
      正義とも似ているけれど。
      でも、どちらでもない。
      同じ色素を持った別の感情のような気がする。

      ただ「それ」を守りたかったいつかと、
      それぞれの目的を持って、いつかを手伝ったメンバー。

      読後感が素晴らしく良く、何度でも読み返したくなる作品。



      ***
      たった一つ難点を言うのなら、
      辻村さんの作品は、作品をまたいで登場する人物が多くいるらしく、
      今回の「名前探しの放課後」は、「ぼくのメジャースプーン」という彼女の作品と、
      ある一か所で密接にリンクしている、とのこと。
      そのため、その一か所に関しては、「ぼくのメジャースプーン」を読んでいないと理解はできない。



      けれど、私のように、その一か所がわからなくても感動する人間はいるし、
      彼女の作品を知るきっかけとしては、いいんじゃないかな、と思う。
      私は、これから「ぼくのメジャースプーン」を楽しみに読む予定。



      ラストが好き。大好き。
      待ち受けたどんでん返しは、読者の心をさらって、涙を呼び起こす。



      いつかのことを、すごくすごく好きになった。



      たぶん、秀人と同じ目線で、読者は、いつかを見直すんだ。
      その他 | 23:54 | comments(4) | - | - | - |
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        コメント
        泉さん。

        ほんとだ!まだ残っていたんですね。
        ありがとうございます(笑)
        ひさびさに読んだら、あまりに若くてびっくりしました・・・。
        やっぱり私も心が進化しているらしいです(笑)

        泉さん。いつもありがとうございます!!

        天狼。
        | 天狼。 | 2009/04/19 2:50 AM |

        映さんがお元気でなによりです(笑)。
        そして、もうすぐ天狼さんも27歳ですか〜。
        まだ大学生の頃からこのブログを拝見していたので(卒論を書いてらっしゃるとき)、びっくりです。
        でも、まだまだお若い!
        これから良き時代を堪能してください。
        私も歳を取ったなあ…

        さて、「Tiger eye`s innocence」ですが、
        まだこちらで見れますよ。
        http://toranino.fc2web.com/tigereye1.htm
        どうぞ消さないでくださいね。
        | 泉 | 2009/04/14 12:18 AM |

        泉さん。

        私のほうが、そんな作品があったこと忘れていました。
        もうデータも残っていないので・・・(笑)
        わざわざありがとうございます。

        子供達は、本当にいい子で、
        私はいまだに思い出しては、勇気をもらっています。
        映さんは元気ですよ!
        たまに映画やらなんやら行きますが、
        相変わらずだなあと思います。

        泉さん・・・大丈夫ですか??
        あまり無理なさらないでくださいね!!!

        天狼。
        | 天狼。 | 2009/04/12 10:52 PM |

        こんにちは。
        エントリーと違う内容でごめんなさい。
        いま久々に「Tiger eye`s innocence」を読みました。予備校時代の天狼さんのことを思い出しながら、そして、今の自分の境遇を思いながら。
        今の私、あの頃の天狼さんと同じだなあって(苦笑)。
        天狼さんが出会った少年たちのやさしさに涙しちゃいました。本当に良い子たちでしたね。映さんっておっしゃいましたっけ?お元気でしょうか。

        | 泉 | 2009/04/09 11:18 AM |

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